北海道の冬の景色に、まるで雪の中から飛び出してきた妖精のようなかわいらしさを添えてくれる鳥「シマエナガ」。最近ではSNSなどでも話題になり、その愛くるしい姿にハマる人がどんどん増えています。この記事では、シマエナガがどんな鳥なのか、どこに住んでいるのか、どうすれば出会えるのか、さらにその一年を通した暮らしや鳴き声のことまで、わかりやすくたっぷり紹介します。
シマエナガってどんな鳥？
シマエナガは、スズメの仲間で、とても小さくて軽い野鳥です。体の長さは13〜14cmほどですが、しっぽがその半分以上を占めています。重さはたったの10g前後。これは、ティッシュペーパー1枚より軽いくらいです。こんなに小さいのに、雪が深く積もる北海道の寒い冬を生き抜いているなんて、驚きですよね。
名前にある「シマ」は、島ではなく「蝦夷（えぞ）」の意味で、北海道に住んでいるエナガということを表しています。本州などにいるエナガとは少し違う「亜種」と呼ばれる存在です。
まるで雪の妖精？シマエナガの特徴
シマエナガのいちばんの特徴は、なんといってもその真っ白な顔です。本州のエナガには目のまわりに黒い線（アイラインのような模様）があるのですが、シマエナガにはそれがありません。まっしろでふわふわ、まるくて小さな体に、黒い目がちょこんとついていて、まるでぬいぐるみのよう。
そのルックスから「雪の妖精」や「白い妖精」とも呼ばれていて、見た人の心をつかんで離しません。SNSではかわいい写真が多くシェアされており、ぬいぐるみや雑貨、文房具などのグッズもたくさん登場しています。中には、シマエナガをテーマにしたカフェやスイーツまであるほどの人気です。
どんなところに住んでいるの？
シマエナガは北海道のほぼ全域に住んでいて、低い場所の森から山のほうの林まで幅広く見られます。針葉樹林（クリスマスツリーのような木がたくさんある森）や、落葉広葉樹林（秋になると葉が落ちる木が多い森）など、いろんなタイプの森に暮らしています。
一年を通して北海道で暮らしていて、渡り鳥のように遠くへ移動することはありません。つまり、四季を通じて北海道で生活しているんです。特に冬は10羽前後のグループで行動し、餌を探して森の中をちょこちょこと飛び回ります。寒い中でも元気いっぱい動き回る姿は、本当にたくましいです。
何を食べているの？
シマエナガは、季節によって食べ物を変えながら暮らしています。春や夏は昆虫やクモを主に食べ、冬になると木の実なども食べるようになります。雪が積もって虫が見つけにくくなる冬でも、木のすき間に隠れている小さな虫や実を見つけて食べる姿は、まさにサバイバルの達人です。
どうやってシマエナガを見つける？
シマエナガを観察したい人には、北海道の自然公園や森林がおすすめです。札幌の円山公園や滝野すずらん丘陵公園、道央・道東地域の広い森でも、比較的出会えるチャンスがあります。バードウォッチング用の双眼鏡を持っていくと、遠くにいるシマエナガの姿もよく見えます。
ただし、とても小さくて動きもすばやいので、見つけるのはなかなか難しいかもしれません。人の気配に敏感で、ちょっとでも音を立てるとすぐに飛んで行ってしまうこともあります。だからこそ、静かにそっと観察することが大事です。朝の時間帯、特に日の出後が一番活発に動く時間なので、そのタイミングを狙って出かけてみましょう。
シマエナガの声を聞いてみよう！
シマエナガの鳴き声は、「チーチー」や「ジュリジュリ」といった高めでかわいらしい音です。群れで行動しているときは、仲間同士でお互いの位置を確認し合うために、常に鳴き交わしています。
耳を澄ませて森を歩いていると、鳥のさえずりの中にシマエナガの声が混じって聞こえるかもしれません。声は個体ごとに少しずつ違うこともあり、まるで会話しているように感じられることもありますよ。
冬だけじゃない！一年中がんばるシマエナガの生活
シマエナガは「冬の鳥」というイメージがありますが、春から夏にかけては巣作りと子育ての季節。つがい（オスメスのペア）で協力して、苔（こけ）や動物の毛、羽毛などを使って丸い巣をつくります。
巣は木の枝の分かれ目や、幹のくぼみなどに上手に作られます。卵を温めるのは主にメスで、ひながかえったらオスもメスも協力してエサを運びます。親鳥は、たくさんのひなを必死で育てるため、1日に何十回も往復して虫を運ぶことも。とても小さな体なのに、子育ては本当に一生懸命なんです。
この時期は人前に姿をあまり見せないので、観察は難しいですが、自然の中で静かに見守ってあげましょう。
私たちにできることは？シマエナガの未来を守るために
今のところ、シマエナガは絶滅の危機にはなっていません。でも、森林伐採や気候変動によって住む場所が少しずつ減ってきているのも事実です。自然との共存を考え、野鳥に負担をかけないようにすることが大切です。
たとえば、撮影する時はフラッシュをたかない、巣に近づきすぎない、大きな音を立てないなど、野鳥観察のマナーをしっかり守ることが大切です。また、環境保護団体への寄付や、森を守る活動に参加することも、シマエナガたちの暮らしを守るために役立ちます。
まとめ
シマエナガは、ふわふわのかわいらしい見た目と、北海道の厳しい自然の中でも元気に暮らすたくましさを持った、魅力いっぱいの鳥です。季節ごとにいろいろな姿を見せてくれるので、通年を通して観察を楽しめます。
森の中で、そっと耳を澄ませて、小さな妖精のようなシマエナガを探してみてください。きっと、心があたたかくなる出会いが待っているはずです。
シマエナガ豆知識
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日本では北海道にしかいない
シマエナガは日本全国で見られる鳥ではなく、北海道にしか生息していません。標高が高い場所や人があまり入らない静かな森の中に暮らしており、特に冬は雪に包まれた環境でその姿を見せてくれます。この地域限定という特別感も、シマエナガの魅力の一つです。 -
しっぽが体の半分以上ある
シマエナガの体長は13〜14cmほどですが、実はそのうち約7cmはしっぽです。この長いしっぽは飛ぶときのバランスをとるために重要で、くるくると方向を変える際にも役立ちます。枝の上にとまっているときも、このしっぽが美しいカーブを描いているのが特徴的です。 -
くちばしがとても小さい
シマエナガのくちばしは非常に小さく、顔の真ん中にちょこんとある程度であまり目立ちません。そのため、ぱっちりとした黒い目がより目立ち、まるでぬいぐるみのような表情になります。くちばしは主に昆虫やクモ、小さな果実をついばむために使われており、その機能は見た目以上に重要です。 -
巣作りがとても上手
シマエナガの巣はとても特徴的で、球体のような丸い形をしています。苔や木の皮、動物の毛、羽毛などを素材にして、外はしっかり、内側はふわふわとした構造で作られています。完成した巣は保温性に優れ、寒い北海道でもひなを暖かく育てることができます。作業はつがいで協力して行い、10日ほどかけて丁寧に仕上げます。 -
羽毛がびっしりで寒さに強い
シマエナガの体はとても小さいですが、そのぶん羽毛が密集して生えており、保温力は抜群です。まるで雪の中でも暖房をまとっているようなもので、体温を逃がさない工夫がされています。また、羽毛がふわふわしていることで、見た目がより丸く、かわいらしく見えるというメリットもあります。
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