自民党総裁選で茂木氏と高市早苗氏が有力候補として浮上政策対立と派閥力学が絡み合い日本政治の劣化と未来の行方を映し出す大混戦

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石破政権崩壊後の混迷と総裁選突入

石破茂首相が参議院選での大敗を受け辞任を表明したことで、自民党は再び「権力闘争モード」に突入しました。

本来なら参院選敗北の総括、党の信頼回復策、インフレ対策など、国民生活に直結する課題を最優先すべきです。

しかし現実は、誰が次の総裁になるかという「椅子取りゲーム」が政治の中心に踊り出ています。

こうした状況自体が、日本政治の劣化を示しています。国民の生活苦よりも、派閥の都合や議員の再選計算が優先される――これが自民党の現実です。

その中で、有力候補と目されるのが茂木敏充元外務大臣と高市早苗前総務大臣です。両者は政策スタンスも支持基盤も大きく異なり、総裁選は党の路線選択を伴う激突になると見られています。


茂木氏の「現実派」路線と限界

茂木氏は、金融政策の段階的正常化を掲げています。

長年続いた日銀の異次元緩和の副作用――物価上昇、資産価格の歪み、円安依存――を是正し、持続可能な経済へ舵を切るべきだと主張しています。

さらに、企業の内部留保課税を検討し、投資と賃上げを促す仕組みづくりを強調しています。

外交では外相経験を背景に、米国や欧州との協調を軸に「現実的外交」を掲げ、対中関係でも強硬一辺倒ではなく調整型の姿勢を取ると見られています。

ただし問題は、その現実路線が「地味で目立たない」ことです。

自民党総裁選では、派閥の論理と国民受けの良いパフォーマンスが物を言います。茂木氏の堅実な政策は専門家には評価されても、一般党員や国民には響きにくい。

さらに内部留保課税という企業寄り議員に嫌われる政策は、党内で反発を招きかねません。つまり「理屈は正しいが選挙に弱い候補」という烙印を押される危険を孕んでいます。


高市氏の「保守派ポピュリズム」

一方の高市早苗氏は、党内保守派と草の根保守層を基盤に強い存在感を放っています。

経済政策では金融緩和継続と積極財政を掲げ、短期的な景気刺激を重視します。国債発行に対しても比較的寛容で、成長を優先させる姿勢です。

安全保障ではさらに強硬で、防衛費の大幅増額、憲法改正の推進、中国や北朝鮮への強い姿勢を前面に出しています。

このスタンスは「わかりやすい強さ」を演出しやすく、草の根支持者には極めて響きやすいのが特徴です。

しかし冷静に見れば、その経済政策は長期的に財政破綻のリスクを高め、外交安全保障は「声高な主張」が先行し現実的解決策を欠いています。

つまり高市氏は「短期的には人気が取れるが、長期的にはリスクの大きい候補」と言わざるを得ません。


党内力学と派閥の思惑

自民党総裁選は政策論争以上に「数の論理」で決まります。

茂木氏は実務派や中堅議員を中心に支持を固めていますが、派閥内の結束が弱く、爆発力に欠けます。

一方、高市氏は保守派議員と草の根党員の熱烈な支持を背景に「党員票」で優位に立つ可能性があります。

今回の総裁選はフルスペック型で実施されるため、党員票が大きな意味を持ちます。

派閥の締め付けで議員票を集める茂木氏と、草の根で票を積み上げる高市氏――この構図は「議員票 vs 党員票」の典型的対立になるでしょう。

さらに、前回石破氏が獲得した「108票」の行方が決定的に重要です。この浮動票を取り込める候補が勝者となる可能性が高いのです。


国民から見た「総裁選の茶番」

総裁選が注目される一方で、国民は冷めた目で見ています。

物価上昇、賃金停滞、生活苦――国民が直面しているのは日々の暮らしの厳しさです。

しかし、総裁選で飛び交うのは金融政策や安全保障といった抽象的な議論、もしくは派閥間の駆け引きです。

国民生活に本当に寄り添う政策は後回しになり、「誰が勝つか」という政局ゲームに終始している。

これこそ、自民党が支持を失いつつある最大の理由です。

政権交代を恐れる自民党は、党内でリーダーを変えることで延命を図ろうとしていますが、国民から見れば「顔をすげ替えても中身は同じ」に映っているのです。


今後の展望とリスク

今回の総裁選の行方は、以下のシナリオが想定されます。

  1. 茂木勝利シナリオ

     金融政策正常化と現実路線で安定を目指す。ただし国民受けが弱く、支持率回復は限定的。

  2. 高市勝利シナリオ

     保守色と強硬外交で人気を得るが、財政悪化や外交摩擦のリスクが高い。短期的支持率上昇と長期的不安定化の両方を招く。

  3. 決選投票シナリオ

     票が割れて決選投票となり、派閥間の裏取引が横行する可能性。結果は「政策」ではなく「権力闘争の力学」で決まる。

いずれにせよ、今回の総裁選が国民生活を改善する保証はありません。

むしろ、政権延命のための茶番に終わる可能性が高く、日本政治の劣化を一層浮き彫りにするでしょう。


まとめ

自民党総裁選は、茂木氏と高市氏という対照的な候補が並び、政策対立と派閥力学が交錯する大混戦となっています。

茂木氏は「理性的だが地味」、高市氏は「派手だがリスクが大きい」。どちらが勝っても、日本政治の本質的課題――物価高、賃金停滞、社会保障の不安、外交の現実――には十分応えられない恐れがあります。

つまり、この総裁選は「自民党の延命ゲーム」であり、「国民の生活を救う選挙」ではないのです。

その冷徹な現実を直視しなければ、日本政治はますます劣化の道を進むでしょう。

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