ヒメハリネズミは、最近人気が急上昇している小型の哺乳類です。小さな体に丸まる姿、そしてクリクリとした黒目がちな瞳が、多くの人を虜にしています。その可愛らしさに加えて、飼いやすさもあり、ペットとして飼いたいと考える人が年々増えているのです。この記事では、ヒメハリネズミの基本的な情報から、性格、飼育の準備、食事や健康の管理方法まで、初心者の方でも安心して読めるように分かりやすく解説します。

ヒメハリネズミってどんな動物なの?
ヒメハリネズミは「ピグミーヘッジホッグ」とも呼ばれるアフリカハリネズミの一種です。「ヒメ」という名前の通り、体がとても小さく、成体でも体長は15〜20cmほど。手のひらにちょこんと乗るサイズ感がたまりません。平均的な寿命は3〜6年といわれていますが、健康に気を配ればそれ以上生きることもあります。
夜行性の生き物で、昼間は基本的に寝ていて、夜になるとケージの中で活発に動き回ります。自然界では、昆虫や小さな動物、果物などを食べて生活しています。家庭で飼う場合も、その食性を意識することが大切です。
臆病だけど慣れると愛らしいヒメハリネズミの性格
ヒメハリネズミの性格は、基本的におとなしくて臆病です。最初のうちは警戒して丸まったり、針を立てて身を守ろうとしますが、飼い主との信頼関係ができると、手のひらで落ち着いてくれたり、ゆっくりと歩き回ったりと、リラックスした様子を見せてくれます。
もちろん個体差もあり、人懐っこくすぐに慣れてくれる子もいれば、時間をかけて少しずつ距離を縮めていくタイプの子もいます。共通して言えるのは、無理やり触ろうとしたり大きな音を立てたりせず、静かに見守ることが大切だということです。
また、ほとんど鳴かないため、アパートやマンションなどの集合住宅でも飼いやすい点もメリットのひとつです。
飼育環境を整えるために必要な準備とアイテム
ヒメハリネズミを迎えるには、まず安心して過ごせる環境づくりが欠かせません。必要な道具や環境は以下の通りです。
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飼育用ケージ:通気性が良く、掃除がしやすいものが理想です。サイズは60cm以上が目安です。
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ヒーターや保温器具:ヒメハリネズミは寒さに弱いため、特に冬場はパネルヒーターや爬虫類用の保温ライトなどで24〜28℃をキープしましょう。
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温湿度計:温度と湿度をこまめにチェックできるものがあると安心です。
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床材:紙製やウッドチップなど、清潔で交換がしやすいものを選びましょう。
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隠れ家(シェルター):安心して眠れるように、ドーム型やトンネル型の隠れ家を用意しましょう。
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回し車:運動不足を防ぐために設置します。静音タイプがおすすめです。
その他にも、水入れやエサ皿、掃除道具、ハンドタオルなども用意しておくと便利です。ヒメハリネズミはストレスに弱いため、なるべく静かで落ち着いた場所にケージを置いてあげましょう。
食事のポイントと健康維持のためのケア方法
ヒメハリネズミの主食には、ハリネズミ専用のフードが販売されています。栄養バランスが整っていて、タンパク質が多めなのが特徴です。補助的にミルワームやコオロギなどの昆虫を与えると、野生の食生活に近くなります。
ただし、昆虫は脂肪分が多いため与えすぎに注意しましょう。また、リンゴやバナナ、かぼちゃなどの果物・野菜もおやつとして少量与えると良いですが、糖分や水分が多いものは控えめに。
健康を保つためには、以下のような日々のケアが必要です。
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食欲や排泄、活動量を毎日観察する
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爪が伸びすぎていないかチェックし、必要ならカットする
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体重を定期的に測り、急激な変化がないか確認する
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ケージ内を清潔に保ち、糞尿やフードの残りを毎日取り除く
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異常があればすぐに動物病院で診てもらう
ヒメハリネズミは体調不良を隠す傾向があるため、少しの変化にも気をつけることが長生きにつながります。
飼育の注意点と飼い主に求められる心構え
ヒメハリネズミを飼う上で、特に気をつけたいのは「環境の変化に弱い」という点です。以下のことを意識しておくと良いでしょう。
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無理に触ったり追いかけたりしない
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騒がしい場所や、急な温度変化のある場所を避ける
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他の動物(猫や犬)との同居は避ける
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多頭飼いには不向きなので、1匹ずつ個別に飼う
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ケージの掃除やフードの補充など、毎日のお世話を欠かさない
夜行性なので、夜間にカタカタと回し車で遊んだり、餌を食べたりすることがあります。そのため、寝室にケージを置くと気になる方もいるかもしれませんが、耳栓などで対策すれば大きな問題にはなりません。
初心者でも安心して飼えるペットなの?
ヒメハリネズミは、きちんと知識を身につけて準備を整えれば、初心者でも比較的飼いやすい動物です。特に、犬や猫のように鳴いたり走り回ったりすることがないため、静かな暮らしを好む人には向いています。
ただし、「かわいいから」という気持ちだけで飼い始めるのはおすすめできません。日々の温度管理やフードの準備、掃除、健康チェックなど、やるべきことはたくさんあります。ヒメハリネズミの命を預かる責任があることを忘れず、最後までしっかりとお世話できるかどうか、自分自身に問いかけてみましょう。

ヒメハリネズミに関する豆知識5選
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針は毛の変化したもの
ヒメハリネズミの体には無数の針がありますが、これらの針はもともと毛が変化して硬くなったものです。敵から身を守るために進化したこの針は、普段は柔らかく感じることもありますが、危険を感じると一気に逆立てて威嚇することができます。見た目は痛そうですが、優しく触るぶんには刺さることはなく、慣れてくると飼い主に撫でられても平気になる子もいます。ただし、無理に握ったり、驚かせたりすると、針を立ててしまいケガをする可能性もあるため注意が必要です。 -
自己臭付け(アノインティング)をする不思議なクセ
ヒメハリネズミには「アノインティング」という独特な行動があります。これは、新しい匂いや気になる物に触れたときに、自分の唾液を泡立てて針や体に塗りつけるというもので、人間から見ると少し奇妙な習性です。しかし、これはハリネズミにとっては自然な防衛反応やマーキングのようなもので、新しいものへの反応として大切な行動とされています。初めてこの行動を見ると驚くかもしれませんが、異常ではなく正常な習性なので心配はいりません。 -
目が悪くて鼻と耳が頼り
ヒメハリネズミは、実はあまり目が良くありません。特に暗いところではほとんど物が見えていないとされています。そのかわり、嗅覚と聴覚がとても優れていて、匂いで食べ物を探したり、音で周囲の状況を判断したりしています。飼い主の匂いや声もちゃんと覚えることができるので、優しく名前を呼んであげたり、手からフードをあげたりすることで少しずつ信頼関係が築けます。急に近づくと驚かせてしまうことがあるので、声をかけてから触れるようにすると安心させられます。 -
冬眠はさせてはいけない
ヒメハリネズミは寒さに非常に弱く、室温が下がると冬眠のような状態に入ることがあります。これは自然界では生き延びるための本能的な反応ですが、飼育下では命に関わる非常に危険な状態です。体温が下がることで代謝が落ち、最悪の場合そのまま命を落とすこともあります。特に秋から冬にかけての季節の変わり目には注意が必要です。日頃から温湿度計で部屋の環境を管理し、暖房器具などで24〜28℃をしっかり保つようにしましょう。 -
個体によって針の色が違う
ヒメハリネズミには、アルビノやシナモン、ソルト&ペッパーなど、さまざまなカラーバリエーションがあります。針の色や模様だけでなく、顔やお腹の毛の色、目の色なども個体ごとに違っていて、世界に1匹だけの「うちの子」感が味わえます。見た目の違いによって性格が変わることはありませんが、好みに合わせて選ぶ楽しみがあります。ブリーダーやペットショップでは色によって価格が異なることもありますので、事前にしっかり調べておくと良いでしょう。
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