ヨーロッパハリネズミって知っていますか?この小さな動物は、ヨーロッパの森や草原、公園や住宅街の庭など、意外と身近な場所にも住んでいることがあります。背中に針をもった独特な見た目と、静かでおだやかな性格が特徴で、最近ではその可愛らしさから注目を集めています。この記事では、そんなヨーロッパハリネズミについて、体のつくりや習性、野生でのくらし方、飼うときに必要なことまで、高校生にもわかりやすく解説していきます。

ヨーロッパハリネズミの体の特徴
ヨーロッパハリネズミ(英語ではEuropean hedgehogと呼ばれます)は、体の長さが20〜30cmほどあり、重さはだいたい400〜1200gくらいまで成長します。小さな体に見えるかもしれませんが、思ったよりしっかりとした体つきをしています。いちばん目立つのは、もちろん背中の針です。これは毛が硬く変化したもので、針の数はなんと5000〜7000本もあるといわれています。
危険を感じると、体を丸めて針を外に向けて守るという防御行動をとります。針以外の部分、たとえばお腹や顔、足の裏などにはやわらかい毛が生えていて、ちょっと犬や猫の赤ちゃんみたいな表情に見えることもあります。針とふわふわの毛のギャップも、魅力のひとつです。
どんな場所にすんでいるの?
ヨーロッパハリネズミは、名前のとおりヨーロッパのほぼ全域に分布しています。特にイギリス、フランス、ドイツなどでは広く見られ、公園や庭、畑のそばなど人の近くでもよく生活しています。自然の中だけでなく、人間の生活圏にも適応して暮らしているのです。
このハリネズミは夜行性なので、昼間は落ち葉の下や丸太のすき間、草の中などにかくれてじっとしています。夜になると元気に活動を始めて、ミミズや昆虫、小さなカエル、果物などを探して歩き回ります。1晩で2kmくらい移動することもあると言われていて、実はとても活発な動物なのです。
性格は?どんなふうに行動するの?
ヨーロッパハリネズミの性格は、基本的におとなしくて慎重です。いきなり人にかみついたり、攻撃したりすることはほとんどありません。でも、知らない人や場所にはちょっと警戒して、体を丸めたり、シューッという音を出して警戒したりすることもあります。これは「こわいよ」「近づかないでね」というサインです。
少しずつ慣れてくると、警戒心もやわらぎ、手からエサを食べたり、人のにおいをかいだりするようになります。個体差はありますが、時間をかけて信頼関係を築くと、飼い主にもなついてくれるようになります。
飼うときに気をつけること
日本では、ヨーロッパハリネズミはもともと野生にはいません。なので、ペットとして飼うには海外から輸入された個体を迎えることになります。日本でペットとして一般的なのは「ヨツユビハリネズミ」ですが、ヨーロッパハリネズミも一部では飼われています。
飼育する場合は、まず大きめのケージを用意することが大切です。運動量が多いので、できるだけスペースに余裕を持たせてあげましょう。夜行性なので、夜間も静かで暗く、安心して動ける環境づくりが必要です。室温も重要で、22〜27度くらいをキープするのが理想的です。温度が低すぎると冬眠してしまい、健康を害するおそれがあります。
ごはんについては、虫を中心としたたんぱく質の多い食事が必要です。ペット用のハリネズミフードや、ミルワーム、コオロギなどを与えるとよいでしょう。ただし、与えすぎには注意が必要です。肥満になると病気の原因になることもあるので、適量を守ってバランスの良い食事を心がけてください。
元気に育てるためには
ヨーロッパハリネズミは比較的丈夫な生き物ですが、やはり環境の変化やストレスには敏感です。特に急な気温の変化や、音の大きな環境、知らない人の多い場所などは苦手です。そうしたストレスを減らしてあげることが、健康に育てるためのポイントになります。
また、毎日同じ時間に様子を観察してあげると、小さな変化にも気づきやすくなります。体重の増減や、フンの色・形、食欲の変化などを見て、元気かどうかをチェックしましょう。もし元気がなかったり、普段と違う様子が見られたら、早めに動物病院に相談することをおすすめします。
他のハリネズミとどうちがう?
日本でよく見かける「ヨツユビハリネズミ」とヨーロッパハリネズミは、見た目も性格も少しずつ違います。ヨーロッパハリネズミの方が少し体が大きく、針の色も濃いめで、顔の形が細長く見えることがあります。また、ヨツユビハリネズミは冬眠をしませんが、ヨーロッパハリネズミは寒さで冬眠する性質を持っています。飼育するうえで、この違いをしっかり理解しておくことが大切です。
人とのかかわり
ヨーロッパでは、昔からハリネズミは益獣(えきじゅう)として大切にされてきました。というのも、畑の作物を食べる害虫をたくさん食べてくれるからです。イギリスでは、庭にハリネズミ用の巣箱を置いたり、餌を置いたりして、自然に来てくれるように工夫する家庭もあります。
ただし近年は、交通事故や農薬の影響でハリネズミの数が減ってきている国もあり、保護活動が行われています。道路の下にハリネズミ用のトンネルを作ったり、農薬の使用を減らす取り組みが行われたりしています。人間とハリネズミが一緒に安心して暮らせる環境づくりが、これからますます大切になっていきます。
まとめ
ヨーロッパハリネズミは、その独特な姿やおだやかな性格、そして人との関係の深さなど、知れば知るほど魅力のつまった動物です。日本ではまだあまり知られていませんが、ペットとしても人気が出てきており、今後もっと注目されるかもしれません。ハリネズミが好きな人も、これから興味を持ちたいという人も、ぜひこのヨーロッパハリネズミについてもっと知ってみてくださいね。

ヨーロッパハリネズミの豆知識
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ヨーロッパハリネズミは、春から夏にかけて子どもを産みます。1回の出産で4〜6匹くらいの赤ちゃんが生まれ、目が開いていない状態で母親に守られながら育ちます。3週間ほどで離乳し、独り立ちします。
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背中の針は5000〜7000本もあります。この針はケラチンというたんぱく質でできていて、髪の毛や爪と同じ成分です。危険を感じると一気に立ち上がり、敵を遠ざける役割を果たします。
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野生では1晩に2km以上も歩くことがあります。これは食べ物を探すためで、夜のあいだにいろんな場所を移動します。縄張り意識はあまり強くなく、広い範囲で活動します。
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成長すると針の色が濃くなり、模様にも個性が出てきます。個体によって背中の模様や色合いが違うので、見分けるときのポイントになります。
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ハリネズミは変わったにおいのものに出会うと、「自己塗布(セルフアノインティング)」という行動をします。これは、そのにおいに唾液を混ぜて自分の体や針に塗る行動で、自分のにおいを守ったり敵から身を守ったりするための本能的な行動といわれています。
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